「パナマ文書」は歴史的大スクープ eleventh edition

ロシア風情の旅順駅 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 今凄い勢いで世界中が大騒ぎしていますね。超メガトン級です。

 「パナマ文書」のことです。

 パナマ文書というのは、パナマの法律事務所「モサク・フォンセカ」から流出した金融取引に関する大量の内部機密文書のことで、文書は1977年から2015年12月までのもので、1150万点以上にも上ると言われています。(「モサク・フォンセカ」の設立者は、南米に逃れてきたドイツ・ナチスの元親衛隊という噂もあります)

  文書のサイズは、何と2.6テラバイト。一部報道では、「ウィキリークスが世に出した米外交文書リーク(2010年)が1.73ギガバイトだったので、この1000倍以上になる」といいます。

 発端は、2014年末。ある匿名の人物が、ドイツの有力紙「南ドイツ新聞」の記者に、この機密文書を持ち込んだことです。その匿名の人物は、恐らくインサイダーだったらしく、最後まで身元を明かさなかったそうです。

 南ドイツ新聞としては、超特ダネになったはずですが、文書が1150万点以上とあまりにも膨大で、一社の分析ではとても手に負えず、非営利団体(NPO)「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)に持ち込みます。ICIJには、日本の朝日新聞や共同通信も参加しています。

 また、一部報道ですが、英国のガーディアンやBBC、フランスのルモンドなど、世界76カ国の100以上のメディアの記者400人以上が文書の分析に協力したと言われています。 

 軍艦と漁船が同居する旅順港 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 まさに、かつてない規模の歴史的大スクープと言ってもいいでしょう。そこには、「モサク・フォンセカ」法律事務所が、タックスヘイブン(租税回避地)での法人設立を支援していた企業や個人の名前や内容詳細が書かれ、驚くことに、中国の習近平国家主席や李鵬元首相らの家族・親族に関する記載やロシアのプーチン大統領の側近の名前もあったというのです。

 5日には疑惑の渦中にあったアイスランドのグンロイグソン首相(41)が辞任し、英国のキャメロン首相も7日に、亡父が租税回避地に設けたファンドに自分も投資して、約300万円の利益を得ていたことを認め、大スキャンダルになっています。

 水師営の両将軍の会見所 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 そこで、首をかしげたくなったのは、何で、世界第3位の経済大国である日本の企業や個人が出てこないのでしょうか?

 そしたら、なーんてこたあない。ネットでは既に、日本関係者が暴露されて大騒ぎしているのですね。大手銀行や証券会社、大手商社、航空会社、携帯電話大手や世界中に展開している衣料メーカーなど、日本人なら誰でも知っている大企業が並んでいました。異色の個人としては、香港出身の大ベテラン歌手の名前もあり、表の顔とあまりにも違うので思わず笑ってしまいました。でも、本当に笑ってしまうのは、リストの中に政治家や大学教授の名前まであったということです。

 白玉山の忠霊塔 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 それでは、日本の大手メディアは何で報道しないんでしょう?少なくともICIJに加盟しているメディアは何で声を潜めているのでしょうか?自分たちで分析したんじゃなかったのでしょうか?

 考えられるのは、これらの大企業は、いずれもメディアにとっては広告を入れてくれるいいスポンサー(お客様)だからでしょう。何しろ、この文書には、あの大手広告代理店までリストに上がっているんですからねえ。驚きです。

 ですから、暴露しようものなら、大変なことになります。日本は村社会ですから、陰湿な不買運動などのいじめもあるかもしれません。何しろ、悪質な税金逃れですからね。

 だから、大手メディアはいつまでたっても躊躇しているのでしょう。しかも、ふざけたことには、日本政府は、早々と「調査しない」と宣言してしまうんですからね。

 とはいえ、いずれにせよ、大手メディアは、本当に情けない。これでは、ネットの住人に「マスゴミ」と蔑称されても分からないことはありませんね。