J-WAVEよ、お前もか! 山崎広子著「8割の人は自分の声が嫌いfifth edition

杜甫草堂 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 図書館に本を予約しますと、読みたいときにはほとんど来ないで、大体、忘れた頃にやってくるものです。マーフィーの法則みたいですね(笑)。

 最悪なケースは、一時に、ドッと予約した本が到来すること。そして上下巻ある本を予約して、最初に下巻が来てしまうことです。

 今回は、その最悪のケースに両方、急襲されました。

 草堂に至る回廊 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 何と4冊もガバーと来たのです。しかも、その1冊は下巻のみです。そして、いつ予約したのか忘れている本ばかりでした。

 そのうちの1冊、山崎広子著「8割の人は自分の声が嫌い」を先程、読了しました。

 この本は、数カ月前に、FMラジオのJ-WAVEを聴いていたら、ある番組に著者の山崎さんが、出演されていて、面白そうでしたので、予約したのです。

 杜甫遺像 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 J-WAVEといえば、昨日、メールが来まして、同局に21日ごろ未明に、「不正アクセス」のサイバー攻撃があって、約64万人の個人情報が盗まれ、「あなた(つまり渓流斎)の個人情報が流出した可能性があります」との告知がきました。

 勘弁してよー!です。

 この個人情報は、2007年から最近まで、J-WAVEにプレゼント応募やリクエストやコメントを寄せた人が対象らしいですが、自分がいつ応募したのか、9年前まで遡っても、覚えていないんですよね(苦笑)

 何しろ、プレゼントなんか当たったためしがないのに、こんな不正アクセスなんかに当選するとは、不条理ですね。

 ただ、メールで「このたびはJ-WAVE WEBサイトへの不正アクセスによる個人情報流出の可能性がある皆さまに大変なご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。」と来ただけで、何か信頼が裏切られた気がしました。
 無名の個人の声はかき消されてしまいますし、今後の対策と防止策もしっかりしてほしいので、ブログに書いてしまいました。

 草堂よさらば Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 で、山崎広子著「8割の人は自分の声が嫌い」の本の話でしたが、申し訳ないですが、ラジオで聴いた話の方が面白かったです。山崎さんは生まれ年を明らかにしていないので、何歳か分かりませんが、本の中で、何回か娘さんが登場しますし、その名前からして、年代は想像できます。

 山崎さんは、ラジオでも本の中でも「声を聴いただけで、その人の身長や年齢や職業や健康状態まで分かる」と仰っていましたが、私は、山崎さんの声をラジオで聴いて、30歳代かと思いました。それほど声が若々しくて、つやや張りがあって、音大で声楽も習ったらしく、恐らく、毎日、自分の声を録音してチェックしているらしく、大変魅力的な素晴らしい声でした。

 でも、本を読むと、恐らく40代でしょう。声年齢が10歳以上若い、ということです。あくまでも、私の想像ですが。

 最後に本の備忘録を書いておきます。いつものように換骨奪胎です。

 ・どうして日本人にこれほど自分の声が嫌いという人が多いのかー。それは、声が自分自身を表現するとても重要な手段であり、他人と自分、社会と自分を繋ぐメディアだという認識があまりにも稀薄だからです。(162ページ)

 ・あなたが出している声はあなたそのもの。あなたが声を出し、その声があなたを作る。音のフィードバックは聴覚から脳をめぐり、身心を変えていく。声を出すことによって、いい方向にも悪い方向にも再構築されていく。だから、オーセンティク・ヴォイスを見つけ出すことが大切です。(174ページ)

 ・話す行為は、同時に自分の声を聴く行為となる。話すときには発音や声の大きさを聴覚が瞬時に判断して、声帯まわりの筋肉や口腔や唇の形を調整する。呼気も強さと量を加減し、まるで神業のように神経と筋肉の連携によって言葉を発する。そして、脳はその緻密な連携を記憶し学習し続ける。耳から取り込まれた声は、脳の言語領域をはじめ様々な部分で分析され、感情や快不快を司る。(192ページ)

 ・声のフィードバックとは、円環性を持つ心身の回路なので、ひとつの方向に回り出したら、ずっとその循環は続く。方向性がマイナス方向に進めば、悪循環、プラス方向に向かえば良循環となる。

 ・声を出すことで心身が常に作られ続け、声のフィードバックをうまく使うことで、誰もが身体も精神も変えていくことができる。思い描く自分の方向性が鮮明であればあるほど、思い通りの自分になっていける!(以上193ページ)

よおし、これから、自分の声に、意識して耳を傾けていきますか。

「レヴェナント」は★★★ second edition

杜甫草堂入口   Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

今年度のアカデミー賞主演男優賞(レオナルド・ディカプリオ)と監督賞(アレハンドロ・G・インタリトゥ)と撮影賞を受賞した「レヴェナント 蘇りし者」を近くのロードショウ館で観てきました。

IMAX(アイマックス)というものを今回初めて知りましたが、映像、音響とも一歩先に行く鮮明で迫力ある映画が楽しめる方式なんだそうで、一般1800円のところ、2000円とちょっと割高になっています。

あたしゃ、そこまで拘らないので、普通の映写で十分でした(笑)。

以下は、ネタバレの内容に触れますので、これからこの映画をご覧になる方は、お控えなすって。さようなら。

 杜甫像  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

とにかく、疲れる映画でした。前触れの宣伝を含めて、拘束時間2時間55分と長過ぎます。最後の方でトイレに行きたくなってしまい、大変でした(笑)。

何と言いますか、汚いし、苦しそうだし、寒そうだし、飢え死にしそうだし、命を取られそうだし、何か、ゆっくり落ち着いて観ることができませんでした。映画館には結構ギリギリに着いたら、混んでいて、一番前の席しか空いていなくて、顔のアップがデカ過ぎました。

美人さんなら我慢できますが、泥んこまみれで、何か曰く因縁がありそうな、胡散臭いおっさんばかり登場しますから、疲れました。

でも、主演男優賞をやっと獲得したヒュー・グラス役のレオ様は、どこまでスタントマンを使っていたのか、よく分かりませんでしたが、とにかく体当たりの演技で、土の中に入れられたり、河から滝で落ちたり、馬ごと崖から落下したり(これはスタントマンでしょう)、そして何よりも、デカい大熊に襲われて瀕死の重傷を負ったり、観ている方も引いてしまうほどでした。(映画の中で大熊のことを、レオ様は、ハイイログマではなく、「グリズリー」と言ってましたが、本物だったんでしょうか?いや、本物だったら、本当に死んでしまいますよね?)

 杜甫草堂大雅堂  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

大自然の凄さには圧倒されますが、人間の存在そのものが悪のような気になります。

でも、とんでもない極悪人や善良な人間が登場するわけでもありません。実際にあったことを元にした作品だそうですが、元々いたネイティブ・アメリカンが残忍そうで、良心的であったり、征服者の白人が、良心的そうで残忍だったりして、何か描き方も中途半端な感じがしました。

悪役ジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)も何処にでもいそうなワルで心底憎めない感じです。ヘンリー隊長(ドーナル・グリーソン)も何処か頼りない感じで、最後のフィツジェラルド討伐に連隊を率いて行けばいいものを、グラスと二人だけで行くのですからね。その先が想像できました。

厳しい大自然の中で、低音で流れるオーケストレーションは、映像の邪魔にならず、そう言えば、坂本龍一が担当していたんだな、と思い出して、注意深く音楽を後から聴くほどでした。映画の中で、音楽の存在に気付かせないことは、なかなかの手腕でしょう。

いやあ、我ながら、つまらんこと書きましたが、タダで観て、文句を言ってもお金をもらって、周囲から「先生、先生」と言われてふんぞり返っている評論家や記者さんよりマシでしょう(爆笑)。