プーチン大統領にやられた日本と言論封殺

新京 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 ロシアのプーチン大統領が、王者の風格を見せつけるために2時間半遅刻して来日したので、日本側は山口県長門市の超高級温泉旅館で接待したというのに、結局、北方4島は返してくれませんでした。

 どうやら、「共同経済活動」とかいう中途半端な決着で、要するに、クリミア半島を併合して西側諸国から経済制裁を受けて困っていたロシアが、日本の経済封鎖を解くのに成功した、という話でしょう。

 日本の惨敗です。

 したたかな元KGBスパイのプーチンさんにやられた、ということです。

 クリミアといえば、日本にとっては曰く因縁の土地で、ここの保養地ヤルタで開かれた英米ソの三者密約会談で、大日本帝国の趨勢が決まってしまいました。

 一番大きいことは、米国ルーズベルト大統領、英国チャーチル首相、ソ連スターリン首相の3人の密約で、ソ連が日ソ中立条約を一方的に破棄して、対日参戦を決定したことでした。

 これによって、南樺太と千島列島は銃剣と火器で占領され、満洲の悲劇とシベリア流刑という歴史的汚点を産みました。

 1956年の日ソ宣言で、2島先行返還後に平和条約を締結する、といった文言があったようですが、今回のこのロシアのやり方では、平和条約締結など、到底無理ですね。

 そんなに条約が望まれるなら、まず、日露中立条約を締結したらどうでしょうか?

 ロシアのことですから、また一方的に破棄することでしょうが。

 あ、凄い皮肉に聴こえましたか?(笑)

 しかし、ロシアが北方4島を返還しないのは、単に軍事的意味合いが強いからなのです。

 ロシア側の「返還したら、島は米軍基地になってしまう」という主張も、あながち全く考えられない机上の空論ではないですからね。

 まあ、こういうことを書いても、ロシアから「言論封殺」の脅しは来ないと思いますけど…いや、脅しが来ないことを願っています(笑)。

 新京 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 言論封殺ではありませんが、最近、自分が思ったことを周囲に言いにくい世の中になってきたものです。

 たとえば、私は、米国の世界的コーヒーチェーン「スターバックス」の珈琲を飲むと、どういうわけかお腹が痛くなってしまいます。ですから、今では全く飲みません。スターバックスは嫌いです。店に入りません。

 でも、こういうことを書くと、「営業妨害だ」とか言ってクレームを付けてくるか、酷い時には裁判に持ち込もうとしたりする風潮があります。

 人間の根本的な感情の一つが、「好き嫌い」ですから、こんな「個人的な感想」さえ自由に言えない世の中は、やはり「言論封殺社会」と言ってもいいでしょう。

 昨日も、今、真面目に仕事をしている所で、隣の人に「中島みゆきとかユーミンとか、僕は、あまり好きじゃないんです」と言ったところ、その隣のおじさんは、昔から二人の熱烈なファンだったらしく、もの凄い勢いで怒り出すんですからね。

 本当は「大嫌いだ」と言いたかったのですが、少しだけ遠慮して言ったのに、この有様です(苦笑)。

 スポーツでも、熱烈な巨人ファンや阪神ファンがいますが、(昔より減ったとはいえ)、少しでも、批判的なことを言ようものなら、まるで親の仇か先祖代々の敵のように蛇蝎の如く、毒づいてきますからね。

 自分が大切にしているものを貶されると汚されたという発想なんですね。達観できないんです。

 人間、年を取れば取るほど頑固で、狭量になってきます。

人の好き嫌いなど、他人が左右できません。聞き流すか、相手にしないか、大人の態度で接すればいいだけです。

 ということは、日本社会はいつまでも幼児性から抜け切れないということなのでしょうか。

 新京 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 私は、あまりこれまでの人生を振り返ることは好きではありませんが、それでも、他人から貶められたとか、裏切られたり、何の落ち度もないのに有無を言わさず日本アカデミー賞協会会員を剥奪されたりしたことを思い出すと、世の中は悪意に満ちた差別社会で、不条理で、悪党だけが楽をして蔓延こっているのではないかと錯覚するようになりました。

 今日17日から東京・岩波ホールなどで公開される映画「皆さま、ごきげんよう」のイオセリアーニ監督(82)は、グルジア(現ジョージア)出身で、どうやらソ連の圧政と迫害に耐えかねてフランスに移住したようですが、そんな辛い人生体験を持つ人だど、世界から争いと略奪はなくならず、悪(ワル)の天下だと確信しているようです。

 どういうわけか、産経新聞だけ、インタビューに応じて、こんな発言を展開しておりました。

 「歴史を振り返ってみても、悪を告発しても何のプラスにならない。告発するのではなく、私は悪の持つ美をじっくり見つめることを楽しむ。悪は日常的につきまとうもので、微笑みながら見せる方が人生を描くことができる」

 寸鉄、人をさす警句ですね。

 何で、彼は、新聞は産経だけインタビューに応じたのか、内部事情は分かりませんが、恐らく、何らかの関係で産経新聞がこの映画に関わりを持っているからなんでしょうね。全くの想像ですが、出資とか。

 つまり、映画や演劇などのエンターテインメントにせよ、野球やボクシングなどのスポーツにせよ、興行となると、その筋の人もからみ、メディアもからむものです。

 新聞の金曜日の夕刊(東京近辺の産経は夕刊がないので、朝刊)は、どの社も「映画」のプレビューが掲載されておりますが、その活字見出しの大きさ、写真の大きさは、各社読み比べますと、微妙に扱い方が異なっています。これは演劇や展覧会にも言えます。

 つまり、大きく取り上げている映画は、その新聞社が出資しているせいだと私なんか睨んでいます。

 特に、映画となると製作費が莫大ですから、それを取り返すために、わずか2週間程度のロードショー公開だけでは回収できず、5カ月後のDVD販売とレンタル、11カ月後のテレビ放送の放映権料で賄っているというのが今では常識です。

 ですから、映画には最初からテレビ局がからみ、その系列の新聞社もからんでいるんじゃないかと、私は考えているわけです。

 こんな話、何も知らない一般大衆は、恐らく永遠に考えることはないでしょうけど…。