養老孟司・角田光代著「脳あるヒト心ある人」

 ゴヤ Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur 

 先ほど、電車の中で、養老孟司・角田光代著「脳あるヒト心ある人」(扶桑社新書)を読了しました。

 実に面白かった。

 久しぶりに「読書の愉しみ」を味わった感じです。世間の気に触る嫌なことが書かれているのに、嫌なことを忘れさせてくれました(笑)。

 モネ Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 もともと、2005年10月3日から2008年3月31日に大阪産経新聞にリレーエッセイの形で連載されたものでした。

 あ、産経新聞でしたから、平成17年から平成20年に連載されたものでした。

 ゴヤ Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 何が面白かったかと言いますと、一言でいえば、「意外性」ですかね。

 偉そうですが、作家の角田光代さんは初期の作品は、仕事でかなり読まされましたが、あまり面白くなかった、という印象が強くて遠ざかっていたのですが、意外によくモノを考える人で、当たり前のことながら、説得力のある、つまり、読ませる文章を書かれるプロだと感じました。ベストセラー作家様相手に大変失礼をば仕りました。

 養老孟司さんの場合は、あまりにも有名なので、私が付け足すようなことはないのですが、やはり、発想が理系そのもので、私のような文系とは全く違う、思いも付かないようなモノの見方、捉え方をされる方なんだなあ、と納得しました。
「どうせ死ぬんだから、好き勝手でいいじゃないか」と、羨ましいほど、生も死も越えて達観されていて、昆虫採集さえできれば、他に何もいらない、という感じでした。

 ゴヤ Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 いつもながら、内容を説明するのが面倒くさいので(笑)、目次から拾ってみます。興味を持たれたら、読まれたらいい。どうせ我々はいつか死ぬのですから(笑)。

 ・頭だけで「生きている」から
 ・「最悪」「幸福」は過去にある
 ・「知らない」を選べる自由
 ・「知る」とは自分が変わること
 ・言葉に定義なんてない
 ・男の人は女をだます?
 ・人は物語を追いかける
 ・なぜ私が私であるのか
 ・行場のない淡い悪意
 ・考えないためのレッスン
 ・「知る」より「感じる」
 ・五感で捉えたことだけ信用
 ・不幸があるから宗教がある
 ・「品が悪い」も死語
 ・才能の基は「やる気」
 ・その仕事が好きになること

 【アクセスランキング】 

日付       閲覧数   訪問者数   ランキング
2016.04.03(日)  322PV    137IP    11126 位 / 2455876ブログ
2016.04.02(土)  289PV    145IP    9350 位 / 2454840ブログ
2016.04.01(金) 302PV    134IP    8761 位 / 2453879ブログ
2016.03.31(木) 256PV    133IP    9539 位 / 2452744ブログ
2016.03.30(水) 186PV    97IP    16303 位 / 2451570ブログ
2016.03.29(火) 222PV    108IP    16852 位 / 2450468ブログ
2016.03.28(月) 287PV    137IP    10420 位 / 2449318ブログ

マイケル・ピルズベリー著「China 2049 秘密裏に遂行される『世界制覇100年戦略』」 Third edition

ゲインズボロ(ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵) Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 皆様ご案内の通り、迂生は昨年、黄泉の国を徘徊逍遥しておりましたので、ほとんど本を読むことはなく、その年に何がベストセラーになったのか知らない有様でした。

 そんな中で、会社の同僚の河野君から、「この本は、俺が昨年読んだ本の中で一番よかった本だ。読んでみるかい?」と手渡されたのが、マイケル・ピルズベリー著・野中香方子訳「China 2049 秘密裏に遂行される『世界制覇100年戦略』」(日経BP社)という本でした。

 実に、実に、実に、おっとろしい本でした。

 実は、途中で何度も読むのを投げ出したくなりました。変な風に聞こえるかもしれませんが、とても重要で興味深い面白い本であるのに、「面白くない」のです。この「面白くない」というのは、つまらない、という意味ではなく、不愉快という意味に近く、というより、そんな強い意味ではなく、ただ読んでいてあまり楽しくないという意味です。それは読者の立ち位置によって、まるっきり違ってしまうかもしれません。中国人のタカ派が読めば、血沸き肉が踊り、大変痛快かもしれませんが、特に米国人、そして日本人が読めば、まさしく、不愉快に近い「面白くないなあ」という感慨を抱いてしまうと思われます。

ラ・トゥール(ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵) Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 語弊を恐れずに書けば、世界中の保守保護貿易派の皆さんに「それ見たことか!」と勇気と力を与えるようなイデオロギッシュ(イデオロギーとエネルギッシュを合わせた造語)な体裁になっているのです。さぞかし、来年、大統領の椅子に座っているかもしれないトランプ氏のバイブルになるやもしれません。勿論、日本の安倍さんにとっても、フランスのル・ペンさんにとっても…。

 著者のピルズベリー氏は、長年、国防総省やシンクタンク「ハドソン研究所」などで中国研究、特に中国の対米戦略の研究を続けてきた、恐らく、米国の第一人者です。これも、恐らくですが、米国の対中政策に多大な影響を与えた人物でしょう。米国内で数えるほどしか閲覧することができない機密文書に接したり、製作したり、政府中枢に助言できる立場にいた人物だったからです。

ベラスケス(ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵) Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 そのピルズベリー氏が「執筆に50年を要した」というのが本書です。当初は、「パンダハガー」(パンダをハグする人=親中派)として、中国に対して技術面でも軍事面でも実業でも、極秘に支援し、将来、中国は民主的国家になって、米国の国益に利することになるだろうという楽観派でした。

 しかし、長年、中国の政府や軍事関係者と意見交換しているうちに、この考え方は間違っていたことに気づいていくのです。そのことについて、事細かく書かれているのが、本書ですが、私は、非才で、その内容をうまくコンパクトにまとめることができません。皆さんも是非読んでみてください、としか言いようがない「戦慄の書」です。

ティティアン(ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵) Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 一言だけ、追加できるとすれば、中国共産党政権は、1949年の建国以来、「100年マラソン」を続けており、100年後の2049年までには、中国は、周辺国(つまり、日本ですねえ)はもとより、米国も圧して、世界一の覇権国になっている、という内容なのです。

 しかも、隠密に覇権国になっているので、誰も気がつかない。表では、「技術力もない、軍事力もない、ひ弱な貧乏三等国」のように謙虚に振る舞って、相手を油断させて、莫大な支援を獲得して、陰では、サイバー攻撃で、あらゆる機密情報を窃盗して、剽窃し、知的財産権をただで手に入れ、しかも、米国から支援された軍事技術を、あろうことか、米国が敵対するイラクや北朝鮮などに輸出し、しかも、深刻な大気汚染を世界中にまき散らしてきた事実をつかむのです。

 中国の目的は、とにかく世界制覇で、20世紀に欧米列強や日本から半植民地化された復讐をして、18世紀に世界のGDPの3分の1を占めた世界最大の「強い帝国」を復活させること。そのためには、手段は選ばず、「面従腹背」「外儒内法」(外では温厚に、中では情け容赦なく)は何のその。つまり、トウ小平の言うところの「韜光養晦」(とうこうようかい=野心を隠して、力を蓄える)で、まんまと敵を、知らず知らずに自分たちの計略にはめ込む戦略だというのです。

 さらには、別に軍事力で世界制覇しなくてもいい。「国家ぐるみ」で、経済規模を膨らませ、そのうち米国経済の2倍も3倍も凌駕して、孫子の兵法のように「中国は戦わずして勝利を収めるだろう」と、ピルズベリー氏は予言するのです。

 勿論、これらの予言は、ピルズベリー氏という対中戦略研究家の米国人の色眼鏡を通して、という大前提があることは確かです。しかしながら、「親中派」から「反中派」に転向した現場を熟知した専門家による理路整然とした本書は、たとえ全面的に賛同できなくても、現代人として、一読の価値があることは確かなのです。

もう一度「鎖国」してみては?

ロバ君も活躍  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 早起きは三文の徳―。土曜日だというのに、今朝も早く目覚めてしまいました。新聞を隅々読んでも時間が余ってしまったので、9時開店の理容「ハンサム・◯◯」で久しぶりにカットに行きました。待ち時間ゼロ分。頭皮マッサージもやってもらいました。

 この店は、駅から30秒の好立地で、創業は1950年といいますから、老舗に入るかもしれません。私の住む街には、床屋さんが500メートルごとに1000軒ぐらいある(笑)と思います。値段も1000円から5000円ぐらいでしょうか。

 「ハンサム・◯◯」は、シャンプーでも若い女性が優しく丁寧にやってくれるので、気に入りました(笑)。(今まで、ワイルドなおっさんに、髪の毛が抜けるほどゴシゴシやられたことがあり、懲りたこともあります)今日は残念なことに、若くはない年配の女性だったので、ガッカリしたら、家に帰ってネットで検索したところ、その人は、店長さんだったということが分かりました。しゅみましゃえーん。

 模範校長春二中校舎  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 この後、「二年間の縛り」があった携帯のドコモも解約に行ってきました。10時開店だったので、外で少し待ちましたが、中では待ち時間ゼロ分。残念ながら、解約した自慢のスマホ「Xperia Z1f」は、下取りしてくれませんでした。auとはえらい違いです。Xperiaは、まだ、充分使えますので、下取り先を探すつもりです(後日ご期待)。

 これで、20年以上使い続けてきたドコモとは縁が全くなくなりました。料金は決して安くはないし、ショップの定員の応対は、銀座店はよかったのですが、私のウチの近くのショップは、どうもあまり親切とは言えず、これですっきりしました。バンザーイ。

 またあのロバ君  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 東京・銀座を歩いていると、外国人観光客が本当に増えたと実感しています。日本国大政府はこのほど、訪日外国人数を2020年に現在の2倍の4000万人、30年には同3倍の6000万人に増やす新しい方針を決めたそうですが、現在の2000万人でも多いくらいですよ。

 銀座のピークでは、6割以上の外国人に占拠されることがあります。彼らは一様に、太り気味でファッションセンスはなしで不細工。とにかく、やたらと声がでかくて公道を占拠するので、邪魔でしょうがない(苦笑)。

 何で日本人の私が卑屈になって、「すみません」と言いながら彼らをよけて通らなければならないのか?一層のこと、日本はもう一度、鎖国したらいいんじゃないかと思っています。こんなこと書くと「炎上」するでしょうかねえ(笑)。

 長春二中校庭  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 扨て、今、大変な問題になっている「スマホ歩き」も本当に迷惑です。スマホ歩きは、若い人だけではありません、いい歳をこいたおっさん、いやお爺さんまで、やっているんですから、日本人の道徳倫理観はどん底です。

 昨晩も、上野で、30歳の若い男が、72歳の老人からスマホ歩きを注意されて、カッとして殴り、老人は道路に倒れて後頭部をぶつけて、意識不明の重体になっているそ事件があったそうです。逆切れですかね。これでは、注意することさえ、憚れてしまいます。

 米国に住む今村君は「日本はまだいいよ。歩きスマホで。アメリカじゃ、スマホしながら車の運転してんだからね。危なくてしょうがない」と溜息をついていました。

 グローバル時代ですから、悪行は伝染病のように伝播するのか、もともと人間はそんなもんか、まあ、どちちか、もしくは両方でしょう。

分裂抗争とドイツ人追放

もうお腹いっぱい Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 1週間のお勤め、ご苦労様でした。

 私も最近、遊んでいませんねえ。お酒が呑めなくなってしまったので、夜の街を徘徊することはもう全くありません。

 お酒を呑まないと、あまりお金も減りませんね(笑)。貯まったわけではありませんが、財布に月末になっても万札が残っていると、つい気が大きくなってしまい、身分不相応にも、高級腕時計なんか買ってしまうんですよね。駄目ですね。

 長春駅近くの商店街 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur
 昨年の大半は、この世にいなかったものですから、世の中の動きについていけませんでした。

 昨年の夏には、どうやら世界最大の組織が分裂して抗争にまで発展している、ということで、何が原因で、どうしてこうなってしまったのか、さっぱり分からなかったので、先日、T社から出版されている「分裂抗争の全軌跡」を読んでみました。そこで初めて理解することができました。

 この写真図解入りムックによると、今の六代目代表取締役社長は、クーデターを起こして、社長の座についたらしく、それに反感を持った歴代社長の流れを汲む前社長のグループが、度重なる要求に耐えきれず、ついに離反したということでした。

 五代目社長の不意の引退も、芸能界に一番顔がきいた常務取締役が株主総会で追放されたのも、その背景が分かって、やっと納得できました。

 米国風高級住宅 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 ところで、日経の夕刊最終面のコラムで、ドイツ文学者の池内紀さんが連載しておりますが、今日初めて、敗戦後のドイツ国民が、いかに酷い目に遭ったか、知りました。「ナチス=悪」だから、当然の報いだという意見もあるでしょうが、それにしても、一般国民にまで被害が及び、相当苦労したんだなあ、と同情してしまいました。

 ナチスの領土拡大政策の後押しもあったのでしょうが、ドイツ人は、軍人だけではなく、一般庶民も、占領したポーランドやバルト三国などに移民します(勿論、もっと昔から移民したドイツ人も多かったようです。何しろ、地続きですから)。まるで、大日本帝国の赤子が、満洲に移民するようなものかもしれません。

 しかし、ドイツ敗戦後、ソ連を中心にした連合軍によって次々と迫害・追放されます。池内先生によると、その数は1000万人とも言われています。その途中で多くのドイツ人が命を落としました。一説には、50万人から200万人と推測されているそうです。

 もし、その数が本当でしたら、想像したくなくても、どんなに酷くて悲惨なことが起こったことか、手に取るように分かってしまいます。誤解を恐れずに言えば、日本人だけではなかったんだなあ、という「気づき」です。この話は、ひとまず置きます。

 東プロイセンの中心都市だったケーニヒスベルクは、哲学者カントの出身地で、この著名な哲学者は、生涯、この街からほとんど外に出ず、毎日決まった時間に散歩していたので、近所の人は時計がいらなかったという逸話があります。

 そのケーニヒスベルクは、現在、カリーニングラードと名前が変わって、ロシアの領土になっています。ロシア本土から遠く離れた「飛び地」領土です。何か、戦国時代みたいですね。

 これも、第2次大戦の結果です。ケーニヒスベルクは、ソ連を中心とする連合軍による空爆で相当破壊され、戦後、ソ連が占領して、多くのドイツ人は追放されます。

 こんなこと書いていても、池内先生に教えられ、自分で調べ直してみたのですが…(苦笑)。

 「貴男は、そんなことも知らなかったんですか!」と、皆さんからお怒りのコメントが来そうですね。