神職資格取得試験のあれこれ

伊太利亜ヴェローナ・ジュリエットの館

◇氷雨

急に寒くなった今日この頃。氷雨が降るので、バスに乗ったら、大渋滞で普段なら駅まで5、6分のところ、全く身動き取れず、35分も掛かりました。笑うしかないです。

◇神道

現役の神職さんによる神道に関する講演会があったので、昨日は、半休を申請して、時間とお金をたっぷり掛けて聴講したのに、内容が薄くてガッカリ。

「これなら、自分の方が知識があるのでは」と、トランプさんのように傲慢になってしまいました(笑)。

講師はまだ、30代の若い人なので、人生経験も文献知識も少ないので仕方ないかもしれませんが、参加者の質問にまともに答えられないケースが多かったので、残念な気がしました。

唯一の収穫は、神職の資格取得試験に、伊勢神宮で一週間の「合宿」が必須だということぐらいですかね。文字通り、同じ釜の飯を喰って、朝の5時から夜の8時ぐらいまで、祝詞修行三昧のようでした。

あと資格試験には、雅楽も必須なんですね。笙や篳篥といった笛のほか、糸ものと言われる琵琶か琴はどちらか選択しなければならないそうです。このほか、色々な太鼓や小鼓などの打楽器です。

もう一つの必須科目は舞踊で、左舞が中国大陸から、右舞が朝鮮半島から伝わってきたそうです。

雅楽も渡来人が伝えたことが文献に見られるように、「日本古来」というのも怪しくなってきます。

以前にこのブログで書きましたが、全国3万社ある稲荷神社の総大社「伏見稲荷」を創建したのは、新羅からの渡来人秦氏で、秦氏は松尾大社も創っております。

京都の有名な祇園祭は、平安時代に疫病の流行や怨霊の祟りを鎮めるために始まったものですが、お祀り自体は、朝鮮半島の高句麗系の渡来人が創建した八坂神社(祗園社)の祭神をまつったものだということも何度も書きました。

さて、以前聞いた話では、神官だけで生業として生きていける人は、本当に少ないようです。確か、7割ぐらいの神官は兼業のようです。

そのせいか、記紀もまともに読んでいないような「戦後世代」も多いようで、実に勿体無い気がします。

講演会で面白かったのは、講師がわざわざ狩衣に着替えて笏まで持って登場してくれたことです。彼は、狩衣のことを「今で言うジャージですね」とうまいことを言っておりましたが、私の関心事は、烏帽子と笏でした。

講演中にこっそり、スマホで検索したら、奈良平安時代の頃は、この笏に祝詞か何かを書き付けて、チラチラ見ていたようですね。なあーんだ、カンニングペーパーじゃないですか(笑)。今は、この笏は、威厳を正すためだけに使われ、必ず右手で持ち、左手を添えるそうです。

トランプ次期大統領を予期できなかったマスコミ

伊太利亜ヴェニス

あんりま、マジっすか? てな感じですね。

米次期大統領に当選したドナルド・トランプさんのことです。(発音からは、ダーン・タンプが正しい表記ですが、このまま続けます)

マスコミは、クリントンさんの楽勝を予想していたはずです。取材能力が低下したのか、世論操作に失敗したのか分かりませんが、とにかく、マスコミは、「英国EU脱退」に続き、見誤りました。

長丁場の劇場型の米大統領選。メデイアは、「善人ヒラリー=安定」「悪党トランプ=暴言、不安定」の報道一色でした。結果だけみれば、ヒラリー当選確実報道は、単なる希望的観測に過ぎなかったのですね。

しかし、蓋を開けてみたら、トランプ圧勝です。よほど、ヒラリーさんは、富裕層と既得権益者のためだけの利益誘導型政治家とみなされ、かなりの嫌われ者だったわけですね。

一方のトランプ勝利は、このブログで先日触れたように、企業倒産による中間層の没落、格差拡大、薬物中毒、家族とアメリカンドリームの崩壊、自殺者急増といった病理がマスコミが報道する以上に深刻だったということでしょう。と言いますか、メデイアはそんなダークな部分を見て見ぬふりをしていただけなのかもしれません。それが、番狂わせのような報道をして言い訳しているように見えます。

世の中の進歩のお陰で、昨日はネットで米ABCの生中継を見ておりましたが、著名な政治アナリストや解説者や番記者が口を揃えて、「トランプが大統領になったら、これから先、一体どうなるのか分からない」と告白していたことが印象的でした。

その通り。超能力を持った予言者ならともかく、誰も分からない、というのが正解ですから。

「メキシコの壁」も「イスラム教徒の入国禁止」なども、大統領に就任して実際に着手するのか、そして、保護貿易主義で内向きになるのかどうかも含めてです。

日本の政治家で、トランプさんとのパイプを持っている人は、ここ数日で急に浮上した(笑)亀井静香さん以外誰もいないでしょから、これから、TPPや米軍基地など日米間に問題が山積していて、大変でしょうね。

それにしても、アメリカは凄い国です。これから、トランプさんがプーチンさんや習近平さんらと口角泡を飛ばして論争する姿が、もう目に浮かぶようです。

民の究極

伊太利亜ヴェローナ・ジュリエットの館

陥没した博多の丼拓先生です。

あ、扨て、そもそも、経済とか金融工学とか小難しい理論を持ち出すからややこしくなるだけなのです。所詮、人は商売で稼いでいるだけなのですよ。

商売とは、安く仕入れて高く売る。もしくは、安くつくって高く売る。単純な話です。

民間は皆、商売をして生きています。商売をしないのは、政官ぐらいです。

政官の仕事は、差配、分配、手配、許認可、捜査などです。民から集めた税金の上澄みを貰って生きています。

そこでもって、今世間で大問題になっているのが、例の代理業者です。

これは、政官と民の中間みたいな商売です。安く仕入れて高く売る基本は変わらないものの、差配や手配をします。ただし、政官のような質が高いものではなく、同じ民が嫌がる、やりたがらない、品質がやや落ちる業態を、です。

ですから、24時間、売主や喧伝主の要望に応えなければならないのです。いくら労働基準局が捜査に入ったところで、それが代理業のサガなのですよ。

民は、いつまでも官の差配に従っていては、おまんまの喰い上げに遭うわけです。

そもそも、民は、9時~5時のサラリーマンや官のような堅気の出勤業態ではやっていけないのです。

民には、時には、恫喝まがい、恐喝まがいめいた手口や事案もなきにしもあらずなのです。

ただし、そこは法治国家。法の支配の下で何とかギリギリ鎬を削っているわけです。

そこを抜け出てしまったら、裏社会になるわけですから。

つまり、民の究極社会です。

昔は大名屋敷だった

「銭形平次」の作者野村胡堂が名付け親、東京・銀座の「銭形」のランチ

桜井遥斗です。

昔は「アメリカがくしゃみをすれば、日本は風邪をひく」と言われてましたが、超大国が没落しつつある今はどうなのでしょうか?

最近の渓流斎ブログは、濁流に巻き込まれて、暗い沈んだ話題が多くて滅入りますね(苦笑)。

でも、ま、強いて無理して明るく努めることもないでしょう。

ということで、最近は、ある程度、諸行無常を感じています。

実家の近くに中学生時代の同級生が住んでおりましたが、今はその家は更地になって売り出されておりました。

数年前に彼女の両親ともに亡くされ、本人も結婚して何年も昔に家を出ておりました。お兄さんがいたはずですが、どうされたのか。兎に角、売りに出すということは、もうそこに住まないし、この後、見ず知らずの関係のない人が住むということなのでしょう。

今住んでいる私のアパートの近くにも、同じように更地になって売り出されている所があります。

諸行無常ですね。

しかし、考えてみれば、念願のマイホームとは言っても、その後どうなるか分かったもんじゃありませんね。

明治維新になった頃も、江戸の大名の上屋敷も中屋敷も下屋敷も、二束三文で人手に渡ったと言われてます。一番有名なのが、帝国大学(東京は付きません)の敷地で、加賀前田藩の上屋敷でした。

赤坂のホテルニューオータニ、四谷の上智大学の辺りは、紀尾井町ですから、まさしく、紀伊と尾張と井伊の親藩の屋敷があった所です。(井伊藩の上屋敷は、確か、桜田門の近くだったはず。万延元年、井伊直弼は、上屋敷を出た目と鼻の先で暗殺されました)

小石川後楽園は水戸藩、新宿御苑は信濃高遠藩、原宿の明治神宮は彦根藩下屋敷、築地市場は尾張藩蔵屋敷、日比谷公園は長州藩、盛岡南部藩、佐賀鍋島藩、汐留は仙台伊達藩、水天宮は久留米有馬藩、有楽町の国際フォーラム(元東京都庁)は土佐藩邸、乃木坂の国立新美術館(第一師団歩兵第三連隊跡)は伊予宇和島藩邸、六本木の東京ミッドタウン(第一師団歩兵第一連隊跡)は長州藩邸…なども有名ですね。

(あ、先日の祝賀会でもお話しした通り、今、電車の中で、スマホでこのブログを書いてますので、記臆違いが多々あると思います。御指摘頂ければ、直ぐ訂正します)

東京の大名屋敷跡を散策するいいサイトを見つけました。
http://edoshiseki.com/daimyo.html

「西鶴一代女」と「ボヴァリー夫人」「女の一生」「居酒屋」

伊太利亜ヴェローナ

巨匠手塚治虫が秘蔵していた春画が見つかったそうで、話題になっています。

文芸誌「新潮」に掲載されていますが、どうやら、新潮の編集者が事前に、特定のメディアに垂れ流し、いや間違えました、特ダネ記事を耳打ちしたらしいです。スクープできなかった弱小メディアのお父様、残念でした。

世の中、強い者が勝つようにできているのです。政治の世界では特に、誰もが勝馬に乗ろうと我先にと、人を押しのけて生きてます。

その手塚治虫ですが、驚くべきことに、亡くなったのはまだ60歳だったのですね。あれだけ歴史に残る大仕事を残したので、もっと長生きされていたと思っていましたが、早逝といっていいぐらいです。

まあ、いわゆる天才ですから、10代から大活躍されていて、確か、あまり若く見られたくないということで、生前は5歳ぐらいサバをよんでいたことがありました。早熟の天才だったのですね。

◇溝口健二は58歳で死去

昨日は、ネットの無料動画で、溝口健二監督を世界的に有名にした「西鶴一代女」を観ましたが、酷く暗い映画で落ち込んでしまいました(苦笑)。

昭和27年の作品です。この作品は、ヴェネツィア映画祭でグランプリを受賞し、翌年は「雨月物語」、翌々年は「山椒太夫」でも獲得して、3年連続の栄誉を授かり、すっかり「世界の溝口」の名を不動のものとしました。「3人好きな監督を挙げよ」と聞かれた仏ヌーベルバーグのジャン・リュック・ゴダール監督が「溝口、ミゾグチ、みぞぐち」と答えたことは有名です。

今でも、日本よりフランスの方が溝口健二研究家が多いぐらいですが、これ程、暗い映画をフランス人が好むとは意外でした。

田中絹代主演で、若き三船敏郎も最初に登場します。田中絹代演じるお春は、3万石の殿様の側室となって世嗣ぎを産んで頂点を極めたかと思ったら、運命の悪戯で落魄して、苦界に堕ちて、堕ちて、堕ちまくる話で、これ程ついていない女性もいないぐらいです。そんな女性は、フランスにはフロベールの「ボヴァリー夫人」を始め、モーパッサン「女の一生」のジャンヌ、ゾラ「居酒屋」のジェルベーズと結構多く描かれ、なあんだ、薄幸女性は、フランス人好みだったわけですか。

疲弊したアメリカ、没落した世界、大貧民になった渓流斎

アムール川 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 11月8日。もうすぐ世界中が大注目している米大統領選挙です。

  私はアメリカ政治に全く詳しくありませんが、11月8日投票は決まり事なんでしょうね。今年は平日の火曜日ですから。だからこそ、期日前投票があり、これが全体の4割を占めているそうです。ということは、既に投票を済ませている人もあり、メディアの事前調査もかなり選挙民の動向を反映していたのですね。ヒラリーかトランプかー。今両候補は拮抗していて、本当にどちらに転ぶか分からない状況です。

 多くの全世界の民衆は、なぜ、あんな暴言を吐く扇動家のトランプ候補に人気が集まるのか、さっぱり理解できませんが、色々と探っていると、多くの白人労働者階級が真面目に支持していることが分かりました。

 トランプ支持は、根本的にアメリカ全体が疲弊した、その現れです。
 プーシキン像 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur
 
 背景にはここ10年の、異常とも言える貧富の格差拡大があります。トリクルダウンなんて可笑しな話です。富める者はますます富み、貧しい者は、心まで貧しくなる時代ですよ。

 米商務省の最新の統計によりますと、米国の「貧困層」は4600万人にも及び、世界一の経済大国だというのに、7人に1人が貧困層だと言われています。また、それだけではなく、「貧困予備軍」も控えており、そうなると、驚くべきことに米国民の3人に1人が貧困・貧困予備軍となります。

 数年前にウォール街を占拠した民衆の「1%の超富裕層と99%の貧困層」というスローガンは大袈裟ではなかったのです。

 つまり、中間層の没落です。
レーニン像 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 昨晩、NHKスペシャルで、トランプ人気の真相に迫っていましたが、「アメリカの市民は相当疲弊している」というのが私の正直な感想でした。

 「メキシコ国境に万里の長城を築く」などというトランプ候補の戯言は、「移民の国が何を唐変木なことを言っているのか」と思いましたら、ある市民に言わせると、彼らは不法入国なのに「手厚い福祉で教育まで受けられ、携帯電話までもらえる」「英語も話せないのに、レストランのウエイターやウエイトレスをやっているので、注文ができない」といった不満のオンパレードでした。

 彼らに共通して言えるのは、自分たちの権益が侵されているという危機感です。「よくぞ、トランプ候補が移民問題を政治イッシューに取り上げてくれた」と歓迎しているのです。自分たちが納めた税金が、「部外者」に回っていることを怒っていたのです。

 グローバリズムによって、中国などから安価な鉄鋼製品が入ってくるため、オハイオ州のある工場が閉鎖されて失業し、薬物に走って亡くなってしまう多くの労働者の問題も取り上げていました。彼らも識者も「もうアメリカンドリームなんかない。生きている歓びも希望もない」とまで言う始末ですからね。

 ここ数年、公立大学でさえ、授業料が2~3倍に高騰し、親もリストラされているため、奨学金の返済額が何百万円にも及んで、それでも卒業してもいい職業に就けないで絶望している若者たちもおりました。彼らが民主党のサンダース候補を熱狂的に支持していたわけです。

 一方、ヒラリー候補に関しては、「既得権益の代弁者」として、格差社会の推進者ということで、嫌われている側面があったわけです。

ワシントンポストもニューヨークタイムズも、既得権益の代弁者ですから、それを破壊しようとするトランプ候補が脅威に見え、10年以上昔のスキャンダルを持ち出してネガティヴキャンペーンを張っているという一部の人の意見もありますが、なるほど、一理あります。

 外国人からは常軌を逸したように見えたトランプ候補への異常な人気の背景に、こうした要因があったのですね。

 行き過ぎたグローバリズムの反動として、EUを脱退した英国でも、工場閉鎖が相次ぐイタリアでも、極右政党が勢力を伸ばすフランスでも、世界中というより、先進各国が歩調を合わせたように内向きな貿易保護主義、移民排斥主義の方向に移行しているのは、善悪は別にして、人間の業と言いますか、誰にも止められない趨勢のような気がしてきました。好き嫌いも別にして、です。

 今日は真面目過ぎたテーマでしたね(笑)。

 私も没落した大貧民ですから、足を踏まれた人間の痛みは同じように感じることはできます。

思いも掛けない祝賀会

1ユーロ

渓流斎改め濁流斎です。

昨晩は思いも掛けぬ展開と相成りました。

京都にお住まいの京洛先生が、江戸四座の山村座で興行される六代目中村菊五郎の襲名披露を観劇するために、わざわざ坂東下りされるということで、濁流斎に「せっかくですから、山村座近くのお茶屋で懇親会でも開きましょう。ついては、何処かいい場所を見繕ってくれまへんか」との御申し付けが御座いました。

「へっ、合点でがす」とお応えしたのはいいんですが、さて、いつものことながら、人数もバラバラで集まるかどうかも分からない連中(笑)ですから、何処か融通が効く気の利いた店はないものかと思案したところ、築地に開店したばかりの精養軒が手頃でないかということで予約しました。

すると、最初は4~5人というお話が、7~8人と増えて、ついには14人という大人数となりました。

昨晩の精養軒は大賑いで、参議の岩倉具視卿と西郷隆盛卿の2人が奥で密談をしており、今、小説「普請中」(春陽堂)が評判の文豪森?外も地下の「米倉」で散髪したばかりのサッパリとした散切り頭で、於菟や茉利ら子どもたちと西洋料理を楽しんでおりました。

京洛先生を囲む会に参集したのは、順不同で、赤坂不動尊、愛宕主筆研究員、神楽坂網情報長、麹町切絵局長、瑞典渡世、赤羽彦作村長、汐留秘書長、眼帯のお仙、江戸市中鶯嬢、新宿与力、伊勢詣御師、格付瓦版長といったおつな社中の皆さん。

話す内容は、征韓論から廃藩置県に至る世事諸々のことでした。

すると、いつの間にか、愚生「渓流斎改め濁流斎になるかどうか分からない長年御苦労様の会」に変身しており、社中の皆様からは温かい励ましのお言葉に加え、銀座の夜店の酸漿市場の西洋花束まで用意して頂いて御馳走になり、予期せぬ驚きの祝賀会となりました。

京洛先生からは、絵師伊藤若冲の友人のやっている錦市場の京漬高倉屋の高級漬物まで頂きました。

また、琉球に咸臨丸で出張中の為五郎さんからもお祝いの電報が届きました。

いやあ、私は、実に幸せ者です。

御参集して頂いた社中の皆様、有難う御座いました。

※【山村座】歌舞伎劇場。寛永19年(1642)山村小兵衛が江戸木挽町に創設したという。江戸四座の一つであったが、正徳4年(1714)江島生島事件で廃絶。

東京の暮らしは世界最高なのか?

ミラノの御馳走カツレツ

先日は、日銀総裁のことを実名を出して批判したのですが、本人から何ら抗議がなかったですね。

せめて、「3000万円も貰っていない!事実無根だ!俺には庶民の気持ちがよく分かる」と言ってほしかったのですが…。

誰もあなたのブログなんか、読んでませんよ。自意識過剰なんじゃないすか?

日銀の黒田総裁は、インフレを煽って景気回復を狙う戦略でしたが、日本はそれ程、デフレで、物価が安いのでしょうか?

私は、2014年にパリ、今年9月にイタリアに旅行に行きましたが、ちょっとカフェやバルでランチを食べても30ユーロとか40ユーロしました。3200円とか4200円とかです。ディナーになると、飲み物付きで5000円とか1万円とか普通にとられます。

よくぞ、フランス人やイタリア人は生活していけるものだ、と思ったところ、ほとんど彼らは外食しないんですね。家で食べるんです。そう言えば、外食するのは観光客や、地元の人なら何かのハレの日ぐらいで、パリジェンヌなんか、昼はスーパーで安いサンドイッチを買ってきて公園で食べていましたよ。あ、もしかしたら、手作りだったかもしれません。

家で食べると安あがりです。なぜなら食材が箆棒に安いからです。イタリアでは、ジャガイモなんか、一皿山盛りでわずか1ユーロ、100円なんですからね。

衣服もそうです。日本ではユニクロが、3980円とか驚くほど安く買えるので庶民は日本の物価は安いと勘違いしていますが、向こうでは、ユニクロよりしっかりした衣服が20ユーロ(2000円)ぐらいで平気で買えます。高級ブランド品と言っても、日本の半額以下です。(関税のせい?)

日本人は騙されていたんですね!

大貧民に没落した渓流斎より

田中都吉は今も生きている

アムール川 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 先週の土曜日に東京・高田馬場の早稲田大学で行われた20世紀メディア研究会のお話の続きです。

 これは、電車の中でスマホでは書きづらい話で、本日は祝日のため、こうしてパソコンで書けるわけです(笑)。

 昭和11年に、聯合通信社と電報通信社が、内外情勢を背景に国策として半ば強制的に合併させられてつくられた国際的な報道機関が同盟通信社であることは皆様もよくご存知のことでしょう。

 その同盟は戦後、自主的に解散して、今の共同通信(社団法人、地方新聞、ゼネラルニューズ)と時事通信(それ以外の経済、国際、官公庁、水産、芸能、出版)と、今脚光を浴びている電通(広告)の3社に分裂しますが、当時は世界を代表する国際通信社としてブイブイいわせたものでした。

 この同盟通信の代表的人物として、電報通信社の光永星郎、聯合通信の岩永祐吉と古野伊之助の3人はよく知られていますが、田中都吉(たなか・ときち、1877~1961)は知る人ぞ知る人物で、メディアの仕事をしている人でさえも、不勉強な人が多いので、意外と知られておりません。

 田中都吉は、同盟通信の社長代行理事を務めた人ですが、国策通信社ですから、いわばお上(かみ)から送り込まれた官憲で、新聞の言論統制を一手に引き受けたゲッペルスのような人物と言う人もいるぐらい評判が悪いのです。

 そんな人物を博士号のテーマとして研究している人がいまして、その人の研究発表を土曜日のメディア研究会で聴講したわけです。この方は30代後半か40代初めに見受けられましたが、本職は何と、戦前からある業界紙の現役記者さんでした。 

 アムール河 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 田中都吉は、外交官出身です。初代の駐ソ大使も務めました(1925~30)。初代文部大臣森有礼が設立した東京高等商業学校(現一橋大学)を卒業した明治31年に外務省に入省します。当時の外交官・領事館試験の合格者は、明治27年から31年にかけての5年間で53人、明治32年から41年にかけての10年間が74人という超狭き門で、東京帝大出身が8割、東京高商出身が2割を占めていたといわれます。

 田中都吉は、外務次官まで登りつめた翌年の大正12年、46歳で退官します。

 途中ですが、田中は個人の著作を発表しておらず、新聞や雑誌等にインタビュー記事や論文を発表していた程度でしたので、謎に包まれた面が多いそうです。

 ですから、なぜ、田中が46歳で外務省を退官したのか、まだよく分かっていないようです。

 しかし、大正14年にはジャパンタイムスの社長に就任し、ジャーナリズムの世界に入ります。ジャーナリズムといっても、記者経験はありませんから、経営者としてです。

 その後、駐ソ大使を経て、昭和8年(1933年)には今の日本経済新聞社の前身であり、三井物産の益田孝つくった社内報「中外物価新報」の流れを汲む「中外商業新報社」の社長に就任します。

 そして、前述したように、昭和11年に同盟通信社の社長代行理事を兼任し、昭和16年には、全国の新聞連盟の評議会議長、理事長も兼任。翌年は、中外社長と同盟役員を辞任して、日本新聞会の会長に就任します。

 アムール河 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 田中都吉が新聞社の経営者や全国の新聞社の協会の会長を務めた時期はちょうど戦時体制の真っ只中で、大政翼賛会、国家総動員法、国民徴用令などが発令された時期と重なります。

 その中で、田中都吉が一貫して果たした役割は、メディアの言論統制でした。

 記者を登録制度にして、中央官庁の記者クラブへの加盟条件にしたり、記者教育と称して錬成活動を推進したりしました。

 田中は、日本新聞会会長として、昭和18年4月25日の編集最高幹部錬成会開会式で、「国家あっての新聞。言論の超国家的自由などということは有り得ない」とまで発言しております。今のNHK会長の発言と見まごうばかりの発言です。

 私もまだまだ知らないことが多いのですが、田中は昭和18年から21年にかけて、貴族院議員も務めておりますから、情報局と連携して、新聞事業令などの励行にも関わっていたのかもしれません。

 今は、多くの人が気づいていませんが、言論統制の時代で、政府が隠したがる真実が庶民の耳に入らず、一部の特権階級にしか入らないシステムになっていることは、渓流斎ブログの愛読者の皆さまでしたら、ご案内の通りです。

 もはや、田中都吉が過去の時代の遺物と誰が断定できましょうか?

日銀黒田総裁の失敗のツケは庶民に還元

オリーブオイル

来月12月に聴講したい講演会があったので、申し込んだところ、主催者から「聴講費は銀行振込にして下さい」とメールで返事が来ました。

聴講費は1000円です。しかし、嫌に横柄な銀行とやらに振り込みますと、手数料が216円も取られるのです。

昔なら、「そんな端た金」と、思いも考えもつきませんでしたが、今は10円でさえ疎かにできない身分となりましたので、「うーん、どうしようか」と数日考え込んでしまいましたよ。

結局、「聴講費は1216円」と、自分を折伏して申し込むことにしました。

日銀の黒田東彦総裁は、いくら貰っているのか知りませんが、年収2000万円か、3000万円は手堅いのでは?もっとかな?ですから、私のような10円単位を惜しむ庶民の惨状を理解することが不可能なのでしょう。

見事に失敗しました。

昨日の11月1日、日銀は金融政策決定会合を開いて、物価上昇率2%の目標達成時期を、従来の「2017年度中」から「18年度ごろ」に先送りすることを決めました。つまり、黒田総裁の任期が切れる18年4月までに目標を達成できないということになり、結局は、「笛吹けども踊らず」といった事態になったわけです。

異次元の金融緩和を推し進め、あろうことか、「マイナス金利」まで導入して、景気を停滞させたアベノミクスと黒田総裁の罪は軽くはないでしょう。

黒田バズーカも空砲に終わり、本人はたんまり退職慰労金か何かを貰って退場するだけでしょうが、これからも、なお底辺で這いずり回って生きていかなければならない庶民の苦労は、並大抵ではありませんよ。

こんな事書いても、それこそ空砲以下ですね(苦笑)。